はじめに:ITエンジニアの「仕事内容」、本当の姿を覗いてみませんか?

「ITエンジニアの仕事内容を調べても、カタカナの専門用語ばかりで、結局何をしているのかよく分からない…」
「『開発』って言うけど、具体的に一日、一週間をどう過ごしているんだろう?」

ITエンジニアという仕事に興味を持っても、その具体的な働き方がイメージできず、漠然とした不安を感じている方は多いでしょう。当ブログでは、これまでもITエンジニアの仕事内容について、様々な角度から解説してきました。

しかし、この記事はそれらとは全く違います。これは、単なる仕事内容の解説書ではありません。あなたを**とあるWeb開発チームの一員としてお迎えし、一つの新機能が生まれるまでの「1週間」を、リアルに追体験していただくための物語**です。

企画会議の緊張感、エラーと格闘する若手エンジニアの苦悩、先輩とのペアプログラミング、コードレビューでの真剣なやり取り、そして金曜日のリリース。この物語を読み終える頃には、あなたはもう「ITエンジニアって何するの?」とは言いません。チームで働くことの喜びと厳しさ、そしてモノづくりの本質的な面白さを、具体的にイメージできるようになっているはずです。

【登場人物と今回のミッション】

舞台:自社でレシピ共有サービス「うまレシピ」を開発・運営するITベンチャー
チーム:サービス改善を担う開発Aチーム

  • 田中さん(2年目):バックエンドエンジニア。本作の主人公。少しずつ仕事に慣れてきたが、まだ自信はない。
  • 佐藤さん(8年目):テックリード兼田中のメンター。技術力が高く、面倒見が良い先輩。
  • 鈴木さん(PM):プロジェクトマネージャー。チームの司令塔として、開発の進捗を管理する。
  • 渡辺さん(デザイナー):UI/UXデザイナー。ユーザーにとって使いやすい画面を設計する。

今週のミッション:「ユーザーがレシピに『いいね』できる機能を開発し、金曜日にリリースする」

物語:ITエンジニアチーム、とある一週間の記録

【月曜日】プロジェクトの始動:計画と役割分担

AM 10:00 スプリントプランニングミーティング
週の初めは、チーム全員が集まる「スプリントプランニング」から始まる。ホワイトボードを前に、PMの鈴木さんが今週のミッションを説明する。

鈴木さん:「今週は『いいね機能』を実装します。目的は、ユーザーのエンゲージメント向上です。デザイナーの渡辺さんが作成したデザインがこちらです」

画面には、ハートマークの可愛らしい「いいねボタン」のデザインが表示される。一見、簡単そうに見える。しかし、ベテランの佐藤さんはすぐに核心を突く質問をする。

佐藤さん:「なるほど。この『いいね』のデータは、どのデータベーステーブルに、どういうカラムで持ちますか?インデックスは必要?ユーザーがいいねしたレシピの一覧は、どこかの画面で表示しますか?」

田中さんは内心(うわ、そこまで考えてなかった…)と冷や汗をかく。会議では、こうして機能の裏側にある「仕様」を具体的に詰めていく。議論の結果、今週はまず「ボタンを押せる」「いいねの数がカウントされる」という最小限の機能に絞って開発し、来週以降に「いいねした一覧ページ」を作ることになった。

鈴木さん:「では、バックエンドのデータベース設計とAPI作成を田中さん、フロントエンドのボタン実装を佐藤さんでお願いします。見積もり工数は3日で、木曜にはテストできる状態を目指しましょう」

こうして、田中さんの今週のタスクが決まった。

【火曜日】開発開始と「最初の壁」

AM 10:30 開発開始
田中さんは、月曜に決まった仕様を基に、データベースに「likes」テーブルを追加し、いいねを登録するためのAPI(プログラムの出入り口)のコーディングを始める。しかし、早速壁にぶつかった。

田中さん:「うーん、ユーザーが同じレシピに何度もいいねできてしまう…。一人一回しか押せないようにするには、どういうチェック処理を入れればいいんだ?」

1時間ほど一人で悩んだが、解決策が浮かばない。田中さんは意を決して、隣の席の佐藤さんに声をかける。

PM 2:00 ペアプログラミング
佐藤さん:「なるほど、ここで悩んでるんだね。じゃあ、ちょっと一緒に見てみようか」

佐藤さんは嫌な顔一つせず、田中さんの隣に座る。一つの画面を二人で見ながら、ああでもない、こうでもないと議論し、一緒にコードを書いていく。「ペアプログラミング」だ。

佐藤さん:「こういう時は、まずデータベースの設計で、ユーザーIDとレシピIDの組み合わせが重複しないように『ユニーク制約』をかけるのが基本だよ。そうすれば、プログラム側でミスがあっても、データが壊れることはない」

田中さんは、自分一人ではたどり着けなかったであろう、より安全で本質的な解決策に感銘を受ける。これが、チームで開発するということか、と実感した瞬間だった。

【水曜日】進捗確認とチーム連携

AM 9:30 朝会(デイリースクラム)
毎朝15分、チーム全員で進捗を共有する「朝会」が行われる。各自が「昨日やったこと」「今日やること」「困っていること」を簡潔に報告する。

田中さん:「昨日は、佐藤さんの助けもあって、いいね登録APIの基本的な部分を実装できました。今日は、いいねを取り消すAPIの実装を進めます。特に困っていることはありません」

この短い報告で、PMの鈴木さんはプロジェクトの遅延がないことを確認し、他のメンバーもチーム全体の状況を把握する。問題があれば、この場で即座に共有され、解決策が検討されるのだ。

PM 3:00 デザイナーとの連携
実装を進める中で、田中さんに新たな疑問が湧く。「いいねボタンを連打されたら、サーバーにすごい負荷がかかるんじゃないか…?」彼は、フロントエンドを担当する佐藤さんと、デザイナーの渡辺さんに相談を持ちかける。

田中さん:「ボタンを一度押したら、処理が終わるまで非活性(グレーアウト)にする、というのはどうでしょう?」
渡辺さん:「いいですね!その場合、ユーザーが処理中だと分かるように、ローディングアニメーションを追加しましょう。デザインデータ作りますね」

こうして、エンジニアとデザイナーが密に連携することで、システムの安定性とユーザーの使いやすさ(UX)が両立した、より良い機能が生まれていく。

【木曜日】コードレビューという「文化」

PM 1:00 プルリクエストの作成
一通りの実装を終えた田中さんは、自身が書いたコードをチームの共有リポジトリ(設計図やコードの保管場所)に反映させるため、「プルリクエスト」を作成する。これは、「私の書いたコードを確認して、問題なければマージ(合体)してください」という依頼だ。

PM 2:00 コードレビュー
プルリクエストを受け取った佐藤さんは、田中さんのコードを一行一行、丹念にチェックしていく。そして、GitHub上にコメントを残す。

佐藤さん(コメント):「田中さん、実装ありがとう!全体的にきれいに書けてるね。一点だけ、ここの変数名`data`だと、何が入っているか分かりにくいから、`likeCount`のように、より具体的な名前に変更すると、将来の自分たちが助かると思うよ」

これは、決して間違い探しや、個人攻撃ではない。チーム全体のコード品質を高め、属人性をなくし、若手の成長を促すための、極めて重要な「文化」なのだ。田中さんは、コメントに感謝を述べ、すぐさま修正に取り掛かった。

【金曜日】リリース、そして「次」への準備

AM 11:00 リリース作業
修正が完了し、テストも無事通過。いよいよ、PMの鈴木さんの承認のもと、田中さんは「いいね機能」を本番環境にリリースする。ボタン一つで、自動化されたテストが走り、数分後には世界中のユーザーが使える状態になった。

PM 4:00 振り返り(レトロスペクティブ)
週の終わりには、チーム全員で「振り返り」のミーティングを行う。KPT(Keep/Problem/Try)というフレームワークを使い、今週の活動について話し合う。

  • Keep(良かったこと):「ペアプロで、田中さんの詰まっていた部分がすぐに解決できた」
  • Problem(問題だったこと):「いいね機能の仕様で、一覧ページの有無を最初に決めていなかったので、少し手戻りが発生した」
  • Try(次週挑戦すること):「新しい機能開発の際は、最初にデータの一覧表示まで考慮したデータベース設計をしよう」

こうして、チームは成功からも失敗からも学び、来週には、さらに強いチームへと成長していくのだ。

あなたがこの「物語」の登場人物になるには

この1週間の物語から、ITエンジニアの仕事が、単なるプログラミング作業ではなく、チームでの対話、試行錯誤、そして継続的な改善の連続であることが、お分かりいただけたでしょうか。

あなたがこの物語の「田中さん」になるために、まず必要なのは、プログラミングの基礎を学び、何か一つでも自分で「作りきる」経験です。その上で、自分に合った文化を持つ「チーム」を見つけることが、キャリアの成功を大きく左右します。

こうした、企業の「文化」や「チームの雰囲気」といった情報は、求人票だけでは決して分かりません。IT業界に特化した転職エージェントは、そうした内部情報に精通した、最高の案内人です。
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まとめ:ITエンジニアの仕事の本質は、チームで未来を「創る」こと

ITエンジニアの仕事とは、一人で黙々とコードを書くことではありません。それは、多様な専門性を持つ仲間と対話し、助け合い、時にはぶつかり合いながら、昨日までなかった新しい価値を、自分たちの手で創り出していく、非常にクリエイティブで、ダイナミックな活動です。

この物語で描かれた1週間は、世界中の何万という開発チームで、今この瞬間にも繰り広げられている、ごくありふれた日常です。この記事が、あなたがその刺激的な日常に飛び込むための、具体的なイメージを掴む一助となったなら、これほど嬉しいことはありません。